亜甲絵里香の盛大な国際公演

著・伊藤喜一郎

神奈川県厚木市の亜甲絵里香グローバル・ダンスシアターが3年前に続いて2回目の国際公演を行った。

亜甲絵里香は外国公演で海外との交流を深め、海外の作品を日本に紹介し、共同で作品を創りたい意欲が高まっていたが、今回その念願がかなって第2回公演の運びとなった。

第1部はスタジオの研究生による発表会、第2部は招聘した外国人ダンサーの小品集で、金髪の美女(フランス)のジャズダンス、スリランカ男性の伝統的な民族舞踊、お尻をくねらせて踊る妖艶なベリーダンス(アメリカ)、2人の女性によるモダンダンス(カナダ)、燕尾服とドレスのペアーによる社交ダンスのワルツ、フォックストロット、ルンバの3曲(アメリカ)、亜甲の娘、華織とロシア男性とのバレエ、亜甲の息子2人の共演によるモダンダンスなどが続き、国際色豊かなダンスが見られた。

そして第3部は亜甲絵里香の振付で「大地の詩」。亜甲は愛、希望、平和をダンスの理念として創作を続けてきた。今回もそのテーマで海外から招聘した気鋭のゲスト9名(上記のほか台湾とブラジルからも参加)と国内からも4名のゲストダンサー、そして亜甲と息子2人、娘が参加し、希望通りの国際公演が実現したのである。

作品は、天地が創造され人間が誕生し、しかし人間には悪も争いもあり、創造の神(亜甲と米国人男性のミッシェル・ジャック)の怒りをかい死滅するが、やがて皆は希望、愛、平和に再生していく、と言ったもの。

外人と日本人の混成が面白い独特の効果をあげ、特に男性の群舞「戦い」は迫力がみなぎっていた。

また、死んで幽霊となったダンスも奇妙で面白い。

ベリーダンスのアテナ・ナジャや社交ダンスのフォング・トレルフォード(女性)もモダンダンスのメンバーと遜色なく踊り、きれいに揃っていた。皆基本がしっかり出来ているのだ。

各国から集まって、けいこも大変だったでしょう。と質問したところ半年前から計画を立てたが、全員が集ったのは6日前。通訳はフランス語は亜甲の長男、寛一が長いフランスでの舞踊生活を活かして、英語は次男の寛司(アメリカ在住で踊っている)が、ロシア語は娘の華織がバレエのパートナー、エフゲニー・グラシェンコに対してと、順調に振付が進んだとの事であった。

いずれにせよ、あまり前例の無い個人のスタジオによる盛大な国際公演を見ることができ、大変有意義な催しであった。

Scene(セーヌ)2008 秋 第71号

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