「原爆の図」再演直前
亜甲絵里香さんに聞く!!

インタビュアー 桜井勤

亜甲絵里香さんが、青山円形劇場(6月4~5日)で「原爆の図」を再演することになった。昨年5月、渋谷ジアンジアンで初演以来、今回が4回目の上演で、「原爆の図」への意図や抱負を亜甲さんに伺ってみた。

-ジアンジアンで拝見し、たいへん崇高な感動を味わいました。この作をおやりになった動機は?

亜甲 演劇女優として活動していた時からお知り合いになつた飯島篤さんのおすすめがあって。丸木夫妻の「原爆の図」を直接拝見し私なりのイメージで舞踊化し、<テアトル・ムーヴマン=劇的舞>として表現しました。国内ではジアンジアンの他厚木でも上演しましたが、アテネの野外劇場でこれを多くの方におみせ出来たことをうれしく思っています。

-あなたの考えておられる作品意図は?

亜甲 人間が同じ人間をこのようなひどい目にあわせ、すベてが一瞬にして破壊されつくした後、残るのは母子の愛、家族の愛ということで、「原爆の図」に共通して描かれているのは、反核、平和は勿論ですが、私は愛の母子像や家族愛を描くことで、私の「原爆の図」を創りました。

初演では6景の構成を5景にし、第1景「少女・平和」を女の子1人から6人に増やし、第2景「ゆうれい」は私のソロで、第3景「火」は女の子の姉妹を出し、すさまじさを私のソロでみせ、第4景「水」はソロで末期の水を飲む人の姿を暗示させながらみせます。そして第6景の「とうろう流し」には女の子3人を出し、初演で第6景でみせたものへとつなぎ、私の踊りはあくまで平和を希求する力強いものにしたいと思っています。

一円形劇場全体を生かした客席でみせるとしたらどこからみてもよくわかるというくふうと照明、美術、音楽にも踊りを生かすものが必要かと思います。

亜甲 その点はこれからスタッフと相談をして決めることですが、生演奏にして美術もジアンジアンとは異なるものを考えております。

-踊り手と常客が一体となって、さらに新しい「原爆の図」が上演されるのを期待しています。

(1998年4月22日)

Scene(セーヌ)1992年 冬 第4号

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