瀬河寛一
コルモンス劇場の楽屋にて
リュクサンドラ、スマインと一緒に
皆さんお元気ですか?フランスはとても寒い日が続いています。もうすぐクリスマスですね。
さて今回イタリアのベニスで踊れる機会に恵まれました。毎年リュクサンドラが彼女の育てたダンサーを参加させているダンスのフェスティバルですが、今回僕に話がまわってきました。
さて今、現在僕自身では色々な経験を積んできて自分自身が誰なのか?自分という人間は何を感じて何を求めているのかということが、すこしずつ明確に見えてきました。ダンスを続けてゆく上で次に自分が何をしないといけないのかという事を考えると、やはり自分の感じている事をダンスを通して形にして表現したいという思いが少しずつ強くなってきました。
そんな事で今年の夏、日本に招待した友達のダンサー、スマインと一緒に少しずつ作品を創っていたのですが、その作品を発表するとても良い機会になりました。
僕達が踊ったのはベニスから2時間程離れたコルモンスという町でしたが、公演を終えた次の日にベニスを訪れてみました。素晴らしいの一言でした。洗練された街並、流れている空気、どこか違う世界へ迷い込んだ様なそんな印象を受けました。パリとはまた違う昔のままのまさに芸術の街という感じでした。
今回発表した作品はほんの一部分でしかありません。もっと時間を置いてじっくりと煮込めてゆこうと思っていますが、作品の一番大事な中心(核)が出来たと思っています。踊るという事とはまた違った作業なのでスマインとお互いに意見を出しあったり、ビデオに撮って見たり、簡単ではありませんが、今そういう様な作業が次に自分を成長させるステップだと思っています。
また作品を創ってゆく上で、もちろん自分はダンサーなので踊りとは何なのか、ダンスとは何なのかということを常に大事にしてゆきたいと思っています。
そしてやはり最後にはリュクサンドラには本当にありがというという感謝の気持ちで一杯です。
作品が出来上がったらなるべくこの作品を大切にたくさん踊ってゆきたいと思っています。
そしてまた日本の皆さんに見てもらえる日が来ることを心から願っています。
まだまだ人生は永いです。これからも、もっともっとたくさんの人と出会い、もっともっとたくさんの事を吸収していきたいと思っています。そして人は未来、未来と言うけれども過去も未来も全ては今(現在)なのだと思っています。時間は流れています。自分自身が常に輝いていられる様、お互いに頑張りましょう。そして皆さんもたくさんの素晴らしい人達と出会って今という時を歩いてゆきましょう。僕もまた次にお便りをだせる日を楽しみにしています。それでは良い年末を!
2002年12月12日(水) parisにて
セーヌ 2002年 冬 第44号掲載
ベニスの楽屋で
スマインと一緒に
ベニスのゴチック教会