インタビュアー桜井勤
「白と黒」 Epirus Palace Hotel にて
―― 今回の会議に急遽参加されたとお聞きし、お話しを伺いたいと思います。
亜甲: 第15回国際ダンス会議が11月5日から13日までギリシャで行われ、私と娘の2人が踊りに行きました。
―― 今回はギリシャのどこで行われ、どんな内容のものでしたか?
亜甲: ギリシャ北西部のアテネから8時間以上もかかるイオアニナという町で行われテーマは“Dance&Oral History"で22ヶ国279人が参加、その他ギリシャ民族舞踊のダンサー218人、音楽家44人が集まりました。日本からは華織と私の2人で踊る創作ダンス「白と黒」をみせました。
―― これまでも主催者のアルキス・ラフティーさんから大変気に入られ、ギリシャ古典舞踊とも通じるものがあるといわれたと伺っています。「原爆の図」(1997)から続いて「山椒太夫」「安達ヶ原」とこのダンス会議で日本の舞踊家として唯1人発表されたのも大きな成果だったと思います。今回の「白と黒」はどんなテーマだったのですか?
亜甲: 「白と黒」は、愛と憎しみ、善と悪、平和と戦争に通じるものでこれらの葛藤を描き、母と娘を通して愛と希望の大切さを描いたものです。
―― 見ている方の反応はどうでしたか?
亜甲:これまでダンス会議で踊って来たものの中でも最高だという評価を受け、主催者のアルキスさんを始め、この会議のスポンサーで地元のイオアニナの実力者やインドの舞踊関係者、ロシア・ノボシビルスクのコンテストの主催者、ボリショイバレエ学校の先生などギリシャの人々を含めおほめの言葉をいただきました。会場は劇場でなく、私たちの作品はホテルの中にしつらえた場所で踊ったのですが私も娘もたいへんあつい感動を味わいました。
国際ダンス会議を祝ってインドの踊りが披露された
世界の民族衣装で集合、中央は会長のアルキス・ラフティー氏
―― 日本でもぜひ拝見したい作品です。内容をもっとくわしくお話下さい。
亜甲:純粋で平和に生きる母と子。その娘に突然悪い「気」が入り込み、彼女はすっかり変身してしまいます。なんとか娘を元の姿に戻そうとする母と娘の戦い。それはすさまじいもので跳ね返されてしまいますが、愛の力でそれに立ち向かう母。ついに母の愛の力が勝ち、娘はようやく正気に戻ります。そして最後は母と子の愛と幸せの踊りでフィナーレとなります。
―― 絵里香さんの踊りは勿論ですが、今年20歳になられた華織さんも一段と成長され、これは見ごたえのある作品になったことが想像されます。昨年後半はパリのユネスコ、11月のギリシャ、12月には秋田のコンクール参加とお忙しい日々でしたが、2002年はいっそうのご活躍を期待しています。
セーヌ 2002年 冬 第44号掲載
グリークレストランで
グリークダンスを楽しむ華織さん
グリークレストランで
皆でダンスを踊る