正岡三夫
ナタリア・ソコビコバ女史(右から3人目)の
家族と一緒に。左端は音楽家のご主人。
亜甲絵里香がとうとうロシアまで行くことになってしまいました。きっかけはコンテスト事務局から届いたEメールでした。あとで判ったことですが、1年前から世界中のダンス関係のホームページを閲覧して参加者選びをしていたそうです。そして亜甲絵里香のホームページに興味を持ち参加の案内が来たのでした。
開催されるノボシビルスク市がどういう所かもわからず、ただ数十カ国から振付家が集まるというので興味が湧き、自分の作品を見せる良い機会だから行ってみようかということになりました。
今回は初めてで様子がよくわからないので、まず亜甲絵里香の長女の瀬河華織をダンサーとして「希望への脱出」と「安達原」の2作品を出しました。
コンテストは5月2日から7日の間、クラシック、モダン、フォーク、チルドレン・ダンス、の4部門に分かれ、1次2次そして決選とそれぞれ市内の異なる会場で開催されました。
決選と入選者によるガラ・コンサートは国立のオペラ・バレエ劇場で行われ、それ以外にも30キロ離れた科学都市アカデムゴドロクへバス移動してコンサートを行うなど、内容の豊富なコンテストでした。
参加したのはロシア国内の20を越す地方をはじめ、ドイツ、ルーマニア、スウェーデン、中国など10数カ国から120名の振り付け者とダンサーは700名以上に上り、それぞれの国の特色を生かした作品が多く、特にチルドレン・ダンスではテクニックに頼るのではなく、子供達の純粋性と、生き生きとした表現とオリジナリティーで楽しめる作品が多かったのが印象に残りました。
ヤクーツクから来た子供達にサインをする瀬河華織
モダン67作品中、亜甲絵里香の2作品は決選まで戦い抜き、「観客に最も愛された作品に贈られる賞」を受賞しました。
オペラ・バレエ劇場でのガラ・コンサートでも、瀬河華織は「安達原」を気迫で踊り、観客から熱烈な拍手とブラボーの声援をいただきました。
コンテストの後に家族ぐるみの食事にご招待をいただき、帰国後もメールでの交流が続いており、直後の国際ダンス会議でパリで再会しているナタリア・ソコビコバ女史(コンテストのアート・ディレクターで審査員)からも、オリガ・レペシンスカヤをはじめとするクラシック系の審査員が全員最高点を付けてくれたことを知らされました。
ソコビコバ女史には「カオリは表現力もテクニックも申し分のない素晴らしいバレリーナで、トゥシューズをはいて踊ればもっと良かったのに」といかにもクラシックの人らしい評価もいただきました。
私たち日本人と顔立ちのそっくりなヤクーツクから来た女の子たちや、一緒に写真を撮りたいと楽屋まで来てくれたトムスクの女の子のペア、それと滞在中通訳としての枠をこえてマネージャー並に精力的に動いてくれたイリーナさんなど、新しく楽しい出会いが数多くあり、また一つ海外との交流の輪が広がりました。
左から通訳のイリーナ、瀬河華織、亜甲絵里香
セーヌ 2001年 夏 第42号掲載