N.Y.で活躍する
若いダンサーたち

宮崎ひろ子(舞踊家、渋谷区洋舞連盟会員、ライター)

ABTの真向かいのビルでは瀬河寛司君の出演するフランス公演のリハーサルが窓ガラス越しに見える。寛可君は文化庁在外研修員として、アルヴィン・エイリーのスクールを卒業し、今回先生でもあるMax Luna IIIの作品の中で、アルヴィン・エイリーのファーストカンパニーのメンバー(例えばMatthew Rushing、Elizabeth Roxasなど)と踊れる事は大抜擢である。振付も床にころがったり、リフトしたりと体格の大きい方ではない彼が、Lunaの振りをキャッチしものにするのにそう時間がかからない事は一歩も、二歩も前進した証拠である。

中でもいろいろな愛の形を各々が踊り分けるのであるが、寛司君、Laura Rossiniのデュエットは実らぬ愛がテーマだったが、別れの結末に「サマータイム」の音の良さも手伝ってか、ついのめり込んでしまった。ABTの先生にしろ、Luna先生にしろ、各々の先生が生み出す動きは個性的であり、それは振付者が一番ピッタリの表現をなし得ると思う。それをダンサーが受け取った時にどれだけ振付師の意向に近づけるか、又、振付師はどれだけダンサーの持つ特性を引き出せるか、そこが技量の見せどころといえる。リハーサル中、終始にこやかなLuna先生の公演は1月12日からナンシー他2ヶ所でフランス人ダンサーも混じえての舞台に、フランスへかけつけたい気持ちである。

写真

リハーサル中の瀬河寛司君

セーヌ 2000年 冬 第36号掲載

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